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株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括
曽山 哲人
上智大学文学部英文学科卒。1999 年株式会社サイバーエージェントに入社。
インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005 年人事本部長に就任。
現在は取締役として採用・育成・活性化・適材適所・企業文化など人事全般を統括。
「クリエイティブ人事」「強みを活かす」などの著作がある。
売上高4,500 億円を超え、従業員数も5,000 名に迫る、東証一部上場企業の株式会社サイバーエージェントは、日本を代表するインターネット企業である。従業員の平均年齢も32 歳と若く、とても勢いのある企業として広く認識されている。
サイバーエージェントは若手から活躍できる会社というだけでなく、働きがいがある会社として認知されている。そんなサイバーエージェントの人事部を統括している取締役の曽山哲人(そやま・てつひと)氏は、人事業界においてもっとも影響力のある実務家の一人であろう。
一般には、仕事と介護の両立が始まるのは40~50 代と認識されている。平均年齢32 歳のサイバーエージェント、その人事を統括する曽山氏が、なぜ今、仕事と介護の両立支援クラウドLCAT の導入を決めたのか、インタヴューを行った。
①曽山さんが、人事として大事にしていることはなんですか?
これからどのような問題が起こりうるか「先読み」して、
今のうちに着手しておくこと
人事の世界には、様々な流行があります。真面目に学習して仕事をしようとする人ほど、学んだものを活かそうとするあまりバズワードに振り回される傾向もあると思います。しかし人事の仕事は、流行を追いかけることではなく、今と未来の経営課題を解決することが重要です。事業戦略を正しく理解した上で、ともに働く社員の課題解決をスピーディに支援するというものだと考えています。
その意味では問題が起こってから、その問題に対応する臨機応変な仕事も人事の責任としてとても大切ですが、これから会社でどのような問題が起こりうるかの「先読み」をして、今のうちに手を打っておくべきものは着手しておくことも大切です。人事としては、経営と現場の双方と密度の高いコミュニケーションを行いつつ、未来に起こる課題を正しく予想する必要があります。その上で「その課題が顕在化する前に対策が検討されている」というのが社員の力になると考えています。私は、普段から社員の声を直接聞いて、将来的に検討しておくべきものや、すぐに対応すべきものを見極めるようにしてきました。
仕事と介護の両立は、近未来の日本の社会全体における非常に大きな課題だと認識しています。人事としてはこの課題が顕在化してから対応するのではなく、どういう対処が必要になるのかを考えるようにしています。この課題が顕在化するということは、貴重な従業員が悩むことで仕事のパフォーマンスが落ちたり、時には退職するということを意味するからです。ですから、仕事と介護の両立については、それができる環境や風土づくりに着手する必要があります。介護は、先回りが必要な課題だと考えています。
②仕事と介護の両立支援についてどう考えていますか?
介護の不安を減らすことは、
仕事へのエンゲージメントを高め社員の成長機会を増やす
介護に取り組んでいる社員が1 人いるとしたら、その先に10 人の社員が介護の可能性があり、10 0 人が介護を不安に感じていると言えます。背後には、仕事と介護の両立が難しいという真の悩みがあります。その真の悩みに対して対策を打つことが大事になるでしょう。個別に寄り添いながら、組織としてもできることをやりたいと考えています。
これはエンゲージメントの問題でもあります。仕事と介護の両立に苦しむ従業員からすれば、その課題の解決を支援してくれる会社に対しては、信頼が増してより良い関係ができると思います。しかし仕事と介護の両立について理解のない会社なら、従業員は「この会社では長期的に頑張ることはできない」と感じるかもしれません。従業員の立場から見て、少しでも良い会社になっていくことが、エンゲージメントを高めるためにも重要です。
そもそも私自身が、親の介護の可能性を考えながら仕事をしています。まだ介護が始まっていなくても、介護のことを聞かれたら不安だと思う従業員はいると思います。従業員が仕事に集中できる環境を整えることは、パフォーマンスに直結します。そのために、介護の不安を少しでも減らすことは、意味のある課題だと感じています。私は人事を社員の成長機会を増やすチャンスメーカーだと定義していますが、介護の不安を減らすことは、そうした仕事の障害を減らす大事なチャンスメイクの一つだと考えています。
③なぜリクシスのLCATの導入を決定したのですか?
エビデンスベースでリスクマネジメントができ、
テーラーメード型対応が可能な安価で優秀なツール
「若い企業なのだから、介護問題に手をつけるのはまだ早い」という声もありました。ただ、若ければ介護とは関係ないという意見は、エビデンスに基づかない推測にすぎません。株主から経営を委託される身として、推測で経営をすることはできません。そうした違和感を持っていたところに、リクシスさんのレポート『ビジネスパーソン2500 人を対象とした仕事と介護の両立に関する分析レポートを発表』(2019 年7 月31 日)を読む機会を得ました。そのレポートには、30 代でも17 人に1 人が日常的に介護をしているというデータが示されていました。今後の潮流を考えると、今のうちに検討しておいて損はないと感じました。
LCAT では、アセスメントの結果が自動集計され、人事として知るべき会社の介護リスクが一目で直感的にもわかりやすく表示されます。それだけでなく、LCAT を受けてくれた従業員には、ニーズに合わせて、短時間で必要な知識が得られるe ラーニング(マイクロ・ラーニング)が届けられるという点も嬉しいです。良心的な価格設定にも助けられました(笑)。
LCAT は「従業員の介護リスクを正しく測定し、それぞれに異なる状況に合わせて、テーラーメード型の対応をする」という人事の仕事を代行してくれる、安価で優秀なツールだと思います。まだまだ、アップグレードもあるということで、今後のバージョンアップもとても期待しています。
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