【イベント報告】Excellent Care Company Club主催ビジネスケアラーカンファレンス2024 14社が考えた効果的アクションプラン大公開!

【イベント報告】Excellent Care Company Club主催ビジネスケアラーカンファレンス2024 14社が考えた効果的アクションプラン大公開!

ビジネスケアラー カンファレンス2024

「Excellent Care Company Club(以下、ECC Club)」は、仕事と介護の両立支援に取り組む企業・団体の業界横断型コンソーシアムです。
2021年6月に「Excellent Care Company Lab.」(ECCラボ)としてスタート。2024年からは「ECC Club」として14の企業・団体で活動を開始しました。

本レポートでは、2024年10月15日、ECC Club参加企業・団体、経済産業省が今年度の総括を発表したカンファレンスについてお伝えします。

<オープニング>
大切なのは「アクション」。
働きながら介護をしている人が自分らしいキャリアを築ける社会を人事の方々とつくり上げていきたい

今回のカンファレンスには、企業、国、メディアなど300人を超える参加がありました。

オープニングでは、まず、ECC Club発起人であり、運営委員でもある、株式会社チェンジウェーブグループ・佐々木裕子から、日本の超高齢化社会や働き手の不足といった現状とECC Club立ち上げの背景を説明。その後、運営委員の3名から「仕事と介護の両立支援」いわゆる「ビジネスケアラー」の課題に対するコメントをいただきました。

リクルートワークス研究所 主任研究員・大嶋寧子氏

「仕事以外でどんな役割を抱えていたとしても、当たり前のように自分らしいキャリアを描いていける社会になってほしいです」

小国士朗事務所・小国士朗氏

「大事なことはアクション。まだ何をしていいかわからない人や無関心な人でも、思わず動きたくなる、知ってみたい・触れてみたいと思えるようなアクションを、このクラブで生み出せたら素晴らしいなと思っています」

株式会社電通 電通シニアラボ・山中藤子氏

「日々介護について考えるということは、自分と親、職場の方との関係性を変えていくことに繋がっていきます。皆さんのアクションに繋がるような解答を見つけていければと思っています」

続いて、参加者の皆さんに、現在課題と感じること、気になることなどについてオンラインアンケートを実施。実情はどうなのか、確認しました。

<セッション2>
経営においても仕事と介護の両立支援に取り組む意義は非常に大きい

特別講演では、経済産業省 ヘルスケア産業課・ 課⻑補佐、 ⽔⼝怜⻫氏に登壇していただき、仕事と介護の両立に対する経産省の取り組みについてお話いただきました。

今年3月、経産省は「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を策定・発表しました。このガイドラインの特徴として、これまで人事の観点から議論されていた介護の問題について「経営上の影響」という観点で整理をしていることが挙げられます。

水口氏

「企業価値の向上や人材不足などの事業・組織運営のリスクマネジメントを行うという観点から、企業が仕事と介護の両立支援に取り組む意義は非常に大きいです。

介護の問題は難しいと認識されることが多いですが、初期の対応をきちんとやることができれば、企業側で一定程度のマネジメントをすることが可能です。

また、早期に対応することでリスクを回避することもでき得ると思っています。

ですが、実態としてはこの課題について優先順位が高くない企業が多い。介護については、両立支援のニーズが企業内にはないと考えている経営者の方が多い状況です。この構造的課題を解決するために、経営者のコミットメントを得るガイドラインを策定しました」

経済産業省 仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインより

分科会の成果発表

ビジネスケアラーカンファレンスのメインは、ECC Club第3期の参加企業による分科会発表です。「実践」を通し、現場で役立つヒントが得られるようなものにしたい、と、メンバーが努力した成果が発表を通して伝わってきました。

第1分科会発表:「お手本」の規定でなく「ストーリー」の共有で課題解決の道筋を見出す

共感から自分ゴト化へ~ロールストーリーという新手法の活用について~
ビジネスケアラーの勇気と希望への「応援」

座長)
東京海上日動 ベターライフサービス株式会社  山﨑高範

メンバー)
東京海上日動ベターライフサービス株式会社 泉 洋枝
アフラック生命保険株式会社 横尾 真紀子
パナソニック株式会社 東野 響子
住友商事株式会社 岩村俊宏
東京海上ホールディングス株式会社 砂原 和仁

第1分科会は、メンバーの各企業で「ロールストーリー」を集め、「推しストーリー」を紹介しました。様々な人の体験やエピソードを物語として集める「ロールストーリー」が、共感、また「自分ごと化」していただくために必要である、という第2期の流れを汲んだものです。

集まったロールストーリーはなんと100本近くあったそうです。介護の問題は多種多様、個人差も大きく、お手本にするロールモデルを見つけることは非常に難しいと言えます。優劣もありません。しかし、ロールストーリーを聞くことで、解決の糸口を探せる可能性は大きく広がります。自分からは少し遠い話、と感じている人たちに伝える力も持っています。

分科会メンバーからは、ぜひこの「ロ―ルストーリー」を広げていきたい、という声も挙がりました。

第2分科会発表:
「仕事と介護の両立コミュニティ」は、各企業の目的をはっきりさせて作る

社員同士で悩みを分け合い、力を貸し合う
「仕事と介護の両立コミュニティ」の設計・運営のコツとは

座長)
住友商事株式会社 安藤京子

メンバー)
セイコーエプソン株式会社 東埜 友香
ソニーピープルソリューションズ株式会社 川上 正俊 ほか
ソフトバンク株式会社 近藤 崇夫
ソフトバンク株式会社 小林 夕香里
ANAホールディングス株式会社 植田 美幸
ANAホールディングス株式会社 落合 和
中外製薬株式会社 角陸舞
東京海上ホールディングス株式会社 三好 里咲
株式会社日立ソリューションズ 宮嶋 輝樹

第2分科会は、「仕事と介護の両立コミュニティ」の設計、運用をテーマにしました。単にコミュニティを立ち上げるためのガイドラインを作成するのではなく、「そもそもコミュニティは本当に必要か?」という本質に迫り、立ち上げまでの課題についても議論を進めました。

発表では、まず、コミュニティの意義や解決できる問題について整理した上で、企業の目的によって組み立てる「社内コミュニティ形成MAP」を作成したことが紹介されました。続いて、実際に社内でコミュニティを立ち上げている分科会メンバー3社が、このMAPに沿って自社の事例を説明しました。

事例で紹介されたコミュニティは三者三様、会社によって立ち上げの背景・運営方法も異なります。すべての意義を網羅するのではなく、それぞれ「自社にはなぜコミュニティが必要なのか」「どんなコミュニティにしたいのか」といった目的を明確にして作成することが大切だという提案がなされました。

第4分科会発表:
ツールの活用で介護について考える機会を増やし、介護について話すことが特別にならない環境をつくる

職場の理解とコミュニケーションを向上させるために役立つツール活用のポイントについて

座長)
富士通株式会社 阪倉彰俊

メンバー
セイコーエプソン株式会社 都 晴代
ソフトバンク株式会社 白井 とも子
パナソニック株式会社 高梨 純
住友商事株式会社 勝目亜矢
ANAホールディングス株式会社 渡邊 舜
東京海上ホールディングス株式会社 坂口 美香

ロールストーリー、コミュニティ、と、周囲の理解や支え合いの話題が出された後が

第4分科会の発表です。

テーマは「職場で介護の話題に触れる機会を作り、コミュニケーションを促進する」ために、ツールをどう活用するのか。イントラネットなどの情報情報提供ツールや、セミナー・情報交換会、相談窓口、面談ツールなど、各社がそれぞれ準備しているものについて、どのように使うことが効果的なアクションに繋がるのか、を改めて整理しました。

また、うまくツールを活用していくために、社員が上司に対して介護などプライベートな事情について共有する環境をどう作るか、についても着目しています。

面談に至るまで、また、面談にあたってはどのような心構えが必要か、上司側と社員側、それぞれの立場で整理したうえで、実践的でハードルが低く、取り組みやすいアクションにつなげていくことを提案しました。

第3分科会発表:
経営層と共に取り組むために 必要なことは

経営層とともに取り組むためのヒント
課題認識・関心度を高め、組織的支援に繋げるには

座長)
株式会社日立ソリューションズ 伊藤直子

メンバー)
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 馬場 亜紀子
セイコーエプソン株式会社 根村 絵美子
ハウス食品グループ本社株式会社 加藤 淳子
パナソニック株式会社 國松 志帆
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 割橋 都紀
ANAホールディングス株式会社 田中 啓介
中外製薬株式会社 佐藤 華英子
富士通株式会社 石原 啓史

第3分科会では「経営層のコミットメント」をテーマに、共に歩むためのアクションについて発表しました。

まずは、経営層に響く情報とは何か、について整理し、サンプルとなるデータ資料を作成。その資料をもとに、パナソニック株式会社・取締役常務執行役員CHROの加藤直浩氏に対するインタビューを実施しました。結果、経営視点でのヒントを得て、改めて経営層との対話に必要な情報5つが提案されています。

【経営層との対話で必要な情報】

1 国の動きと法改正
2 経営にインパクトを与えるデータ 
3 自社・他社の実態 
4 他社の取り組み事例 
5 従業員の生の声

発表では、経営層インタビューでの気づきとして、経営へのインパクトを示すデータが重要であり、数字で示すことは必須であると考えていたが、実はそれだけではないこと、「自社の従業員の声・実情」が大きな意義を持ち、経営層を動かすことができること、が紹介され、企業が共通して取り組むべき3つのSTEPと具体的対応についても提案されました。

<参加型ディスカッション>
企業が進んでいくために、良いタイミングが訪れている~参加者からの質問とディスカッション

各分科会からの発表が終わった後は、座長とECC Clubの運営委員が登壇し、参加者から寄せられた質問をもとに、ディスカッションを行いました。

実態把握を避けたがる層にはどう対応するのか、会社としてメッセージを発信する際の注意点は、また、ビジネスケアラーに対する評価・機会提供と周囲への配慮についてはどう考えるか、等々…実践に役立つ、に拘って進めてきたECCclubの第3期の締めくくりにふさわしく、率直な意見や質問に答えていくことで、さらに具体的なアクションに繋がるヒントが見えてきていました。

最後には、第3分科会の座長を務めた伊藤さんから「企業の皆さんが『やらなきゃ!』と思ってやれば、少しずつでも形になっていくものだと思います。今日の発表が少しでも皆さんのヒントになれば、と思いますので、皆さんで進めていきましょう」

と、意気込みが示され、大盛況のうちに閉会しました。

ECCclubは、今後も「仕事と介護の両立支援」を実践するためのヒントが得られるコミュニティとして、活動を続けて参ります。

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